サイトカイン治療
サイトカインとは?
サイトカインとは、抗原が感作リンパ球に結合した時に、このリンパ球から分泌される特殊なたんぱく質の総称を指し、これまでに、数十種類見つかっています。代表的なものにインターロイキン、インターフェロン、腫瘍壊死因子、ケモカイン、コロニー刺激因子、増殖因子などがあり、いずれも、免疫系の調節、炎症反応の惹起、細胞の増殖や分化の調整、抗腫瘍作用に関係し、感染防御、生体機能の調節、様々な疾患の発症の抑制に重要な役割を果たしています。サイトカインやサイトカインの作用を阻害する物質(抗サイトカイン物質)を様々な病気の治療にも使っており、それをサイトカイン療法といいます。
核は細胞内にあるタンパク質を用いてサイトカインを作り、お隣の細胞に伝えたいメッセージを送ります。この細胞は長いメッセージを送れません。しかし、短いメッセージをいくつも作り出すことができます。 サイトカインの短いメッセージ1つでは意味が伝わらないので、いろいろな要素を持ったメッセージを出します。複数の種類のメッセージが繋がることで、初めてちゃんとした文章として意味をなすのです。 そのため、治療に使う場合、単体のサイトカイン投与ではなく複数種類のサイトカインが詰まっている製剤が使われます。
サイトカインの種類
サイトカインにはたくさんの種類がありますが、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。ここでは代表的なサイトカインについてご紹介します。
■インターフェロン(interferon:IFN)
ウイルス感染や腫瘍細胞に反応して分泌されるサイトカインで、ウイルスや腫瘍細胞の増殖を抑制する働きがあります。またマクロファージやNK細胞の活性化も行います。α(マクロファージで産生)、β(線維芽細胞)、γ(T細胞: 特にTh1細胞) の3種類です。
◎タイプI・・・IFNINF-α(白血球性IFN)、INF-β
◎タイプII・・・IFN:INF-γ(免疫IFN)
■インターロイキン(interleukin:IL)
白血球から分泌され、免疫反応を調節するサイトカインで、30種類以上存在します。発見された順に番号がつけられており、特に白血球の中のリンパ球からは、IL-2、IL-4、IL-10などが多く分泌されます。IL-2は、リンパ球の中でがん細胞を殺せると言われているCTL細胞や NK細胞の増殖・生存に必要不可欠の因子です。IL-2は、腎がんにも有効であることが認められています。
■腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor:TNF)
腫瘍細胞の障害(アポトーシスの誘導)や炎症反応に関与しており、αとβがあります。TNF-αは、代表的な炎症性サイトカインです。
■コロニー刺激因子(colony stimulating factor:CSF)
血球の増殖を促進させます。顆粒球へ分化させるG-CSFや、単球へ分化させるM-CSFなどがあります。
◎顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)
◎単球コロニー刺激因子(M-CSF)
◎エリスロポエチン(EPO)
◎SCF(stem cell factor)
■成長因子(growth factor:GF)
◎上皮成長因子(EGF:epidermal growth factor)
◎線維芽細胞成長因子(FGF:fibroblast growth factor)
◎インスリン様成長因子(IGF:insulin like growth factor)
◎神経成長因子(NGF:nerve growth factor)
◎血小板由来成長因子(PDGF:platelet derived growth factor)
◎トランスフォーミング成長因子(TGF:transforming growth factor)
■TGF-β
抗炎症性サイトカインの1つで、多くの細胞の増殖を抑制します。がん細胞の増殖抑制にも働き、癌抑制因子として働きます。
サイトカイン療法のメリット
サイトカイン療法のメリットとして、
■身体に負担をかけずにがん細胞を攻撃する
■いつもの暮らしができる
■進行がん、移転がんにも効果がある
■早期がんなら根治の可能性もある
■体力の低下した患者にも治療可能
■他の治療と並行してできる
■再発・移転の抑制に有効
■緩和医療で予後改善が期待できる
といったメリットがあり、逆にデメリットとして、
■基礎体力が落ちている人には効果が出にくい
■治療データの蓄積がない。
■免疫療法単独での治癒は難しい。
■免疫を活性化させても免疫抑制により効果が低下してしまう。
■治療のガイドラインが決まってない。
■保険適用外なため高額になってしまう。
といった事が挙げられます。
他の治療法との比較
サイトカイン治療は他の治療に比べ、自分自身の細胞を活性化させる治療なので安全性が高いことが知られています。
サイトカイン療法で最先端の美容医療を
再生医療分野より誕生し、近年美容クリニックや化粧品にて注目を集めているヒト脂肪由来幹細胞倍養上清液。 ヒト脂肪由来幹細胞倍養上清液には、コラーゲンやヒアルロン酸を産生する繊維芽細胞に働きかけるグロースファクターをはじめ、幹細胞から分泌される様々な因子を含んでいます。また、 培養上清液治療はサイトカイン治療とも言われており、この培養上清液が美容効果や様々な病気の症状の改善に効果が期待できると言われており、新たな治療の材料として期待されています。
例えば、サイトカインを肌に入れ込むことで、表皮細胞や線維芽細胞と呼ばれる細胞に分化し、皮膚の真皮のコラーゲンやヒアルロン酸が増えて老化現象を抑えることが期待できます。老化を招く根本に働きかける治療と言えるため、年齢の若いウチから導入すれば老化を遅らせることも十分可能と言えます。
サイトカイン療法は究極のアンチエイジングとも言われており、下記の症状の改善が期待できます。
■ダイエット
■肩こり
■手の若返り
■難治性にきび
■薄毛
■腰痛
■疲労回復
■痴呆
■アトピー性皮膚炎
■尋常性乾癬
■難治性皮膚病